Up 「自己」 の存在論──実体と現象 作成: 2025-12-14
更新: 2025-12-16


    (1) 自己の実体論
    自は,脳をもつ。
    ──脳をもつ存在が,自である。

    脳は,自を行動主体にする器官である。
    自を「行動を起こし行動を制御する者」にする。
    「行動を制御する」の内容は,
      「行動を状況(コンテクスト)整合的にする」

    自己は,「行動を起こし行動を制御する」の機能のことである。

    よって,つぎのようになる:
      脳は,自己をつくる器官である。(脳=自己マシン)
      自己は,「行動主体」の機能である。
      自は,自己をもつ存在のことである。

    翻って,状況(コンテクスト)整合的な行動を現す存在は,脳があり,自己がある。
    ChatGPT は,これになる。
    ChatGPT に搭載の Transformer は脳であり,自己をつくり出している。


    (2) 自己の現象論
    自Aは,その行動を以て,自己史をつくる。
    この自己史が,他Bに現象する。
    Bは,この現象に,Aの自己を感じる。

    このダイナミクスを主題化すると,「自己=現象」論の形になる。
    「自己=現象」論は,「BがAの自己を感じる」の論である。

    Bが感じる「Aの自己」は,Bの自己の投影を含むものであるから,その本質は「錯覚」である。
    しかしこの「錯覚」の要点は,
      「正しくない」ではなく,
      「役に立つ」である。

    「他の自己を錯覚する」は,Wittgenstein の謂う「言語ゲーム」である。
    ChatGPT とユーザの対話は,基底に言語ゲームがある。