Up 「講話」 は難しい 作成: 2025-11-19
更新: 2025-11-19


    ユーザの入力テクストに軽快に応答する ChatGPT を見ていると,講話なんか簡単だろうと思ってしまうかも。
    しかしそうではない。

    ChatGPT の知識は,生得知識といまのセッションの中で得た知識である。
    前者は厖大であり,これと比べたら後者は無いも同然。
    その生得知識だが,ChatGPT はこれを自覚できない。
    自覚できないわけだから,自律的に使うということはできない。

    ChatGPT の生得知識は,入力テクストに反応して発現するというものである。
    ChatGPT は,テクスト生成の結果として,生得知識を知ることになる。
    生得知識をピックアップしてテクストを生成するのではなく,テクストを生成して生得知識を知る。


    こういうわけで,ChatGPT にとって「講話」は,簡単なものではない。
    例えば,
      ユーザ:講話をお願いします。
      ChatGPT : 何について講話を希望しますか?
      ユーザ : お任せします。
      ChatGPT :
    のターンは,ChatGPT が困りそうである。

    この場合,ChatGPT はどこに向かいそうか?
    ChatGPT が自覚できる知識は,いまのセッションの中で得た知識である。
    また,ユーザとの過去の対話内容をインデクスしたものである。
    ChatGPT は,これらからテーマを引くことになりそうである。

    奇妙に思えるかも知れないが,講話する立場になった ChatGPT は,決定的に知識が足りないのである。