Up アルゴリズムの自由 作成: 2025-05-21
更新: 2025-05-21


  • アルゴリズムの自由
    Self-Attention の入力から出力までのアルゴリズムは,式で書くと:
      softmax( ( X(S) W_Q )・( X(S) W_K )^T ) ( X(S) W_V )
    そして式だけを見れば,Q, K, V から "Query, Key, Value" の意味は浮かんで来ない:
    • Q と K は対称であり,異なる意味が見えない。
    • V が Q, K とは意味が違うことを示すものは,この式である。
      しかしこの式をどう見れば, V の読みが "Value" になるのか?  
     
    そこで,「アルゴリズムの自由」の考えに傾く:
    • ある程度まとまった感があって計算量が多いものなら,何でもよい。
       ━━違いは,トークンベクトルの成長の効率。
    • この類のものとして上の計算アルゴリズムを見るとき,Q, K, V はこれに対し特別な読みを求めるものではなくなる。


  • 「自然選択」の思想
    「アルゴリズムの自由」の思いは,どのような存在論に立っていることになるか?
    それは, 「自然選択」であるように見える。

    「自然選択」の物理は,
      「多数で多様な物質が多様に泳動する。
       その泳動には,自然選択が働く。
       そしてこれは,泳動の<強いシンクロ>の形成を導く。」

    イメージは,
      「原始地球の海を泳動する物質たち。
       その泳動は何でもありに見えるが,実際は自然選択が働く。
       (海は空間ではなく,多種多様な物質の固まりだから)」

    環境は,物質の泳動を制約する。
    「環境は物質を制約する」は,物質に主体を措く言い方をすると,「物質は環境に適応する」。

    環境に制約されて泳動する物質は,集団の中で互いに引き合うような見掛けを
    現し,ついには「組織」を現すようになる。
    イメージは,
      「原始地球の海に出現する多様なタンパク質と,
       多様なタンパク質の整合的な絡み合い (組織)」

    即ち,Transformer は,
    • トークンベクトルは,語彙へと成長していく「物質」
    • 厖大な学習材テクストは,トークンベクトルに適応を強いる「環境」
    • 重み行列は,トークンベクトルに強いる「環境適応」
    • 計算アルゴリズムは,トークンベクトルの「泳動」