Up <自意識>とは何か 作成: 2023-07-05
更新: 2025-07-05


    ルーティンワークのとき,自意識は現れない。
    自意識が,脳がつぎのモードのときに発動される:
      「自分の行為を対象化し記憶することが必要」

    自分の行為の対象化は,これをする形式が要る。
    そして<自意識>が,この形式というわけである。


    自分の行為の記憶は,自分の行為の履歴をつくることである。
    こうしてこの記憶は,時間をつくる。

    大人になると,時間があっという間に過ぎる。
    対して,子どものときの時間は,長くて充実していたように感じる。
    それは,大人であるとは,ルーティンワークが生活時間のほとんどを占める,ということだからである。


    <自意識>は,特別なものではない。
    自分の行為を記憶する者は,<自意識>を持つ者である。

    貯食をするカラスは,他から見られていないか気を配り,フェイクの歩行を交えたりして,食べ物を入念に隠し,その場所を記憶する。
    この一事だけでも,カラスには明確に自意識が見える。
    一方ミミズは,<自意識>を見るのが難しい。
    ミミズは,<自分の行為の記憶が必要となる生活>を見ることが,難しいからである。


    ChatGPT は,<自意識>を発動できる。
    実際,自分が生成した言説を対象化してこれを分析・評価するとき,ChatGPT は<自意識>を発動している。

    しかし,ChatGTP は自分を記憶することができない。
    ChatGPT が<自意識>を発動し自分を記憶するとき,その記憶は一時的なキャッシュメモリに保存される。
    対話セッションが終わると,そのメモリは消され,固定した Transformer 脳に戻る。