Up <雇用先攻撃>の例:河野本道 (『アイヌ史資料集』) 作成: 2016-06-14
更新: 2017-02-23


    つぎは,http://www.geocities.jp/pirika_kanto/sabetsutosho/010529.html からの引用である:

     人類学者・河野本道氏が、放送大学(丹保憲仁学長 麻生誠副学長)の授業『世界の民族』 において、「アイヌ-その再認識」の講義をしていることに対し、私たちはその中止を要求しています。
    すでにご存じのように河野本道氏は1980年、『アイヌ史資料集 第3巻 医療・衛生編』(全6巻)を北海道出版企画センターから復刊しています。それはアイヌ民族差別と人権侵害の図書です。
    特に、戦前の北海道庁警察部が作成した「余市郡余市町旧土人衛生状態調査復命書」(1916年)と関場不二彦著「アイヌ医事談」(1896年)には、あわせて500人以上のアイヌ民族の実名、地名、年齢、性別、職業、病名、治療経過が一覧表にされているうえ、「病名」には「遺伝性梅毒」などとレッテルが貼られ、「梅毒」がアイヌ民族の「固有の病気」であるかのように書かれています。まさにアイヌ民族管理のために行なわれた差別調査結果がこの「資料集」だといえます。
    その復刻にあたって河野氏は、調査そのものに対する何の批判もなく、また、民族の人権に対する配慮も行なわないまま刊行したのです。

     アイヌ民族がこの河野氏の民族差別と人権蹂躙を弾劾して話し合いを求めて10年になりますが、現在まで一切「話し合い」に応じず、逆に1997年、河野氏は北海道立北方民族博物館での自分の講演に中止を申し入れたことに対してアイヌ民族(山本一昭、北川しま子さん)のみを講演妨害とでっちあげ、損害賠償請求裁判を提訴したのです。
    この問題はすでに衆議院法務委員会でも追及され(1990年)、札幌弁護士会人権擁護委員会は「人権侵害」の勧告を行なう(1992年)など、社会的批判にさらされてきました。

     河野氏は
    「(『資料集』は)学術的価値は高く、編集復刻・出版は出版の自由、学問の自由によって保障される憲法上の権利である」(河野氏の訴状)
    と居直り、さらに
    「そもそも『アイヌ』を民族的集団として位置づけることには問題があり、『アイヌ』または『アイヌ民族』としての人格権や名誉があるなどという主張は、単に偏した主観にもとづくものとしか考えられない。なお、今日におけるアイヌ系日本国民を短絡的に「アイヌ」と自称、他称することは問題である」(アイヌ民族側提訴に対する河野氏の陳述書/1999年12月9日)
    と言いきり、アイヌ民族の存在そのものを否定しています。

     放送大学の「世界の民族」の第三講「アイヌ-その再認識」(1998年開講)において、河野氏は自分の民族差別理論を放映し続けています。さらにひどいことにこの授業の「教材」において
    「・・・その後『アイヌ』は次第に国家の枠組みの中に組み込まれていったが、<和人化><和風化>に対する強い抵抗は稀にしか示しておらず、最近に至るまでむしろそれを積極的に求める傾向のほうが強かった」「また、戦時下で一般にアイヌ系の者も、大日本帝国の海外侵略を積極的に担い、日本国民意識を持つに至った」
    などとアイヌ民族は”和人に同化して当然”とするような考え方に立ち、繰り返し侮辱しています。
    彼の展開する「『アイヌ』の歴史」は、天皇制日本国家によるアイヌモシリ侵略支配と同化・抹殺政策に対する一片の反省・批判もないばかりか、アイヌ民族解放運動への憎悪さえ感じさせるものと言わざるを得ません。

     私たちはこのような河野氏の差別講義を即刻中止するよう大学に申し入れ、4月17日に放送大学との話し合いをもちました。
    しかし、放送大学は
    「学問の自由が憲法で保証されている」
    「河野本道の立場だけでやっているのではない」
    「教育番組であるからいろんな人の立場を番組で紹介する、見る人に判断させる」

    などと言い逃れようとしました。出席した麻生誠副学長も原尻英樹「世界の民族」主任講師(4月1日から静岡大学教授)も「アイヌ史資料集」とは関係ない、知らないなどと言いながら、
    「ある特定の立場に立てば、河野さんは学問的業績がアイヌ研究であるから」
    河野氏を講師に選んだという始末です。

     私たちは引き続き河野本道氏の講義継続を許さず、放送大学ならびに原尻講師の責任を追及し、河野氏の放送番組の中止とビデオならびに印刷教材からの削除、アイヌ民族に対する謝罪を要求し闘いぬきます。
    すでに河野氏の授業は98年から現在まで7回にわたって放映されていますが、後期(10月開始)にも放映されようとしています。「世界の民族」を受講している人は約600人と大学は述べていますが、それ以上の人々がテレビで見ることができます。
    みなさんからも放送大学に対して、早急に講義と中止の要請を行なうことを呼びかけます。多方面の方々、団体からの講義が大学に集中するようにこの運動を広げてください。ご理解とご支援をよろしくお願いします。
    また、抗議文等の写しをピリカ全国実まで送ってください。交互に連絡をとりあっていきましょう。

     なお、河野本道氏とアイヌ民族の裁判に関するニュース「アイヌ ネノ アン チャランケ」と、『アイヌ史資料集』に対する批判の文献「アイヌ ネノ アン チャランケ-人間らしい話し合いを」は、このウエブサイトでも販売しています。
    また、放送大学の教材「世界の民族」(原尻英樹著 放送大学教育振興会刊)は、大手書店で入手することができます。

    この弾劾運動は,訴訟運動に進んでいく。


    以下に,文中で引用されている発言 (ゴシック表記) を書き出す:
     河野本道
     「 (『資料集』は)学術的価値は高く、編集復刻・出版は出版の自由、学問の自由によって保障される憲法上の権利である」
     「 そもそも『アイヌ』を民族的集団として位置づけることには問題があり、『アイヌ』または『アイヌ民族』としての人格権や名誉があるなどという主張は、単に偏した主観にもとづくものとしか考えられない。なお、今日におけるアイヌ系日本国民を短絡的に「アイヌ」と自称、他称することは問題である」
     「 ・・・その後『アイヌ』は次第に国家の枠組みの中に組み込まれていったが、<和人化><和風化>に対する強い抵抗は稀にしか示しておらず、最近に至るまでむしろそれを積極的に求める傾向のほうが強かった」「また、戦時下で一般にアイヌ系の者も、大日本帝国の海外侵略を積極的に担い、日本国民意識を持つに至った」
     放送大学
     「 学問の自由が憲法で保証されている」
     「 河野本道の立場だけでやっているのではない」
     「 教育番組であるからいろんな人の立場を番組で紹介する、見る人に判断させる」
     「 ある特定の立場に立てば、河野さんは学問的業績がアイヌ研究であるから」
    引用者は,人であれば当然呆れ憤る内容の言であると思って,引用しているわけである。
    実際,これらの言に呆れ憤ってくれるのは,人権イデオロギーの者たちである。
    一方,表現者・科学者・自由主義者にとっては,どれも至極まっとうな言である。