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『菅江真澄全集 第2巻』(未来社, 1971). p.28
高き岡にのぼりて、磯辺近き弁天島をはじめ、遠き波間にまゆずみのすがたしたるは於胡斯離(奥尻島) とて、しほぐもりてはるゞると見やられたる島は、こなたよりのふなみち廿里斗ならん。
島のめぐり二里にたれり。
島かげにかりやどのところどころにありて、
沖のふね行なやみ、あやまたんとせりけるほりは、此島にのがれんため、米、鍋、火うちげまでをさめけるに、
風にはなたれ、しほにながされたるもの此島に船よせ、いかりかけて、よき泙(なぎ)日をまちて命いきていに、
よね(米)つみたらんふねは、さきのごとに、ものたくはへおけるとなん。
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