Up 6月17日 作成: 2024-12-06
更新: 2024-12-06







      『菅江真澄全集 第2巻』(未来社, 1971). pp.150,151
    あるじ、此コタンなるクチアシカヰが彫工(テント)いとよし、見たまへとて、トコカムヰを彫たるをとうだして見せけるは、まことの蛇をあざむく斗、おぼろげの工とも見えず。
     〔 天註──トコカムヰとは蛇をいふとなん〕
     ‥‥‥
    ヰナヲ崎に来りぬ。
    此コタンはアヰノもシャモも入まじりでゑびすめをかりぬ。
    シャモは七尋八ひろの棹して、うなのそこなるをからみひけれど、舟のりありけば,
    アヰノは腰にみわ小菅のやうなるものを引まとひ、あらき潮瀬にとび入り、昆布かりもて舟なるアキノに縄ひかせておつきあがり、舟ばたに鎌うちかけて休らひ、ふたたび海に入ていたく刈もてあがり、いきづきあへり。
      はかりなきちひろのそこのひろめかり敏鎌かざして出る夷人