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Knight, Rob (2015), pp.20,21.
顕微鏡でようやく見える小さな細菌がヒトの体内にどのくらい住み着いているか、ご存じでしょうか。
重さでいえば、平均的な大人には約1.4キログラムほどの細菌が住んでいます。
脳とだいたい同じ、肝臓よりは少し軽いくらいの重さで、細菌群集 (マイクロバイオーム) はヒトの体内でもっとも大きな臓器のひとつだと言えます。
細胞の数については、ヒトの体内に存在する微生物細胞の数がヒトの細胞の数 [10兆個] より10倍も多いことをすでに見てきました。
DNAを基準にするとどうなるでしょう。
その場合、私たち一人ひとりは約2万個のヒト遺伝子を持っていますが、その一方で 200〜2000万の細菌遺伝子も保持しています。
遺伝子的に言えば、私たちは少なくとも 99% は細菌です。
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- 共生細菌 Symbiobacterium
- 絶対共生細菌 Symbiobacterium thermophilum
- 部位別常在細菌叢
( http://www.uoeh-u.ac.jp/kouza/biseibut/lecture/jyouzai.html より)
部位 | 微生物 | 補足 |
皮膚 | 表皮ブドウ球菌、ミクロコッカス、真菌など | 1000〜10000/cm2 |
眼結膜 | コリネバクテリウム、表皮ブドウ球菌、連鎖球菌など | リゾチームによって菌はほとんどいない。 |
鼻咽腔 | 表皮ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌(MRSA)、緑膿菌、インフルエンザ菌、髄膜炎菌、肺炎球菌、コリネバクテリウム | 日和見感染症の原因菌が多く存在 |
咽頭 | 連鎖球菌、ナイセリア、ブランハメラ(中耳炎、副鼻腔炎)、コリネバクテリウム | |
下部気道 | 気管、気管支、肺胞はほぼ無菌状態 | 肺胞マクロファージの存在 |
泌尿 生殖器 |
男性生殖器は尿道下部を除いて無菌。女性生殖器はデーデルライン桿菌が有名(膣の自浄作用)。
妊娠中の女性のB群連鎖球菌(S.agalactiae)は新生児の敗血症や髄膜炎の起炎菌として重要。 |
尿中細菌数>105/mlで尿路感染。
尿路感染症は女性に多く、起炎菌は大腸菌が多い。
膣炎病原菌としてカンジダ、マイコプラズマ、原虫のトリコモナスがある。 |
胃 | 強酸性のため無菌と考えられていたがヘリコバクター・ピロリが発見された。 | ヘリコバクター・ピロリは萎縮性胃炎や胃ガンとの関連が疑われている。 |
小腸 | 胆汁や膵液のため無菌。 | |
大腸 | 27菌属、101菌種以上、100兆個の菌が存在する。偏性嫌気性菌バクテロイデスが最も多く、大腸菌は全体の1%以下と少ない。 | |
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戸田忠雄 (1939), pp.175-178
身体各所における常在細菌の種類を以下に示すが,その様相は,性,年齢,生活環境,食事内容などによっても異なる.
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- 地域・個人によって,腸内細菌の種類が違ってくる
- 種類
- 参考サイト
- 参考文献
- Knight, Rob [Author] + Buler, Brendan [Contributor] :
Follow Your Gut ─ The Enormous Impact of Tiny Microbes
- Simon & Schuster/ TED, 2015
- 山田拓司, 他[訳]『細菌が人をつくる』, 朝日出版社 (TEDブックス), 2018.
- Montgomery,D.R. & Bikle,A. (2015) : The hidden half of nature ─ The microbial roots of life and health
W. W. Norton Company, 2015.
片岡夏実[訳]『土と内臓──微生物がつくる世界』, 築地書館, 2016.
- 戸田忠雄 (1939) :『戸田新細菌学』, 南山堂, 1939
- 第34版 : 吉田眞一・柳雄介・吉開泰信[編]『戸田新細菌学』, 南山堂, 2013
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