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松浦武四郎 (1857), pp.180,181
ホロノタフ
ホロヒリ
へンサイヲチ
ホロノタフと云は川流屈曲して大なる岬平地に成居るなり。
其岬をノタフと云。
ホロヒリ、へンサイヲチと云は小川にて、左りの方より落来る。
少し行て
ビバイ
右の方に有。
当川第十二番の支流也。
むかし此川口にも夷家三四軒有し由。
今はなし。
川巾七八間なれども、流れ木にて閉りたり。
此辺柳・赤楊多し。
ヒハイは蚌のことなり。
此貝多きによって号るかと思わる。
此川のことも当時しりたるものなし。
よってユウハリのヤエタルコロに聞に、先川口より左りの方ホロカウナイ、ホンカウナイ、ホロチフトラシ、ホンチフトラシ等皆左の方に有と云。
其源はユウハリの岳の北の方より落るとかや。
此ヤエタルコロはアノロ川すじより此処え堅雪のせつ行たりと云り。
彼コトンランケは度々此辺よりトツク迄も行し事有と云り。
其審なることは留辺志辺志に志るすが故に爰に略す。
此川も魚類多きよし也。
扨此川口までは針位卯 (東) に向ひ来り、川口より上は酉 (西) に向ふ也。
此処大なる一ツのノタと成、其ノタを船曳越て遣る時は、凡一里半も近しと云り。
則是を
ヒハイノタフ
と云也。
扨、是より又戌 (西北西) の方へ棹て行ことしばしにて
ニイルゝヲマナイ
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