Up 生徒が見えない 作成: 2012-09-20
更新: 2012-10-20


    学校教員養成課程の算数・数学科教育法科目は,学生に「指導案作成・模擬授業」を課し,これを授業力の陶冶とする。
    模擬授業では,最初のうち学生は,生徒役の学生を見る (この「見る」の意味は,「見る格好をする」) ことができない。
    次第に見る格好ができるようになるが,あくまで格好であって,見てはいない。
    当人は見ているつもりであるが,<見ているつもり>は<見ている>ではない。

    このことは,現職教員でも同じである。
    当人は生徒を見ているつもりであるが,<見ている>にはなっていない。

    見えることは,生徒に添うことができることである。
    生徒を無駄に扱い,ときに壊す,ということをしないで済むということである。
    定年間近になった教員がきまって吐くことばの「今頃になってようやく,少し授業がわかってきた」は,主にこの<生徒を見る>が少しわかってきたということである。