Up 数学を志す動機 作成: 2016-02-17
更新: 2016-02-17


    数学に入門する者は,数学が自分の欲するものであることをわかっていて入門するのではない。
    実際,数学が自分の欲するものであるかどうかは,入門し,修業してからわかることである。

    では,数学を志す動機は,何か?
    数学がかっこよく見えるからである。
    他の諸科学と数学を並べるとき,数学はかっこよく見える。

    数学の何が数学をかっこよく見せるのか。
    <俗離れ>である。
    実際,数学の営みは,自分と「紙・鉛筆・ごみ箱」である。
    その俗っぽくないところ,仙人みたいなところが,何か高尚なものに思わせるわけである。

    この「かっこよく見える」は,錯覚であるにしても,重要な点である。
    数学をかっこよいと見るのは,精神だからである。
    生態学で数学を考えるとき,「精神」には「普遍」の位置づけをすることになる。

      「数学教育」「数学教育学」の「数学離れ」は,数学の精神を想えなくなっていることと相応じている。
      そして,数学の精神を想えなくさせることの一つに,数学を「よさ」で発想するということがある。
      「よさ」で物事を考えるとき,精神が無くなる。
      商品経済では精神が衰退する所以である。