Up 放射温度 作成: 2023-05-13
更新: 2025-02-19


    「物体の温度」は,「温度」の形式的定義 (理論的定義) を経て,実際的表現を「粒子間の光子交換」の量にすることとになった:

    さて,その実際的表現は,「高炉の温度は 2000°C」のようなものになる。
    「2000°C」?
    これは何なのか?

    それは,測定値である。
    「温度の実際的表現」の導入は,「温度の測定」が併せて導入されているわけである。
    そこで,「温度の測定」とは何か?となる。


    物体の温度は,<粒子間での光子の受け渡し──これの平衡状態>であった。 (温度が違うとは,光子受け渡しの平衡状態が違うということ!)
    ここで外に飛び出してくる光子を捉えて測る。

    「光子」は量子力学の物言いであって,古典力学では電磁波である。
    外に出て来た電磁波に対し,それの波長分布を計測する。
    そして,計測された波長分布に「プランクの放射則」を適用する。
    これが,このときの「温度を計算する」であり,「温度の測定」である。

プランクの放射則
天文学辞典「プランク分布」から引用:


    日常使う温度計は,理論値を関接的に表現するしくみのものである。
    電磁波の波長分布を計測する温度計は,「放射温度計」と呼んで,区別している。
    (但し,気温を測定できる「放射温度計」というものは,実現されていない。)

    歴史的には,日常使う温度計が「温度」を定義した。
    「水が凍るのが0度,沸騰するのが100度」「アリコールがこの率で膨張すると, 20度」といった具合である。
    しかしここには,温度の循環論がある。
    そこで,循環論の無い「温度」を定義をしようとする。
    その結果が,「時間に対するエントロピーの変化率」になったというわけである。