Up カリキュラムの含意は,複雑系 作成: 2010-02-26
更新: 2010-02-27


    ある意図をもって,再編プロジェクトをおこす。 再編プロジェクトは,必ず想定外の事態を招く。 そして,たいてい,人と時間と金の無駄遣いで終わる。
    再編プロジェクトが想定外の事態を招くことになるのは,再編対象の含意が複雑系であるからだ。 この複雑系を把握することは,人の力に余る。 再編プロジェクトが成功する確率は,きわめて低い。

    カリキュラムを考えることは,これの含意であるところの「交通」を考えることである。 「交通」を構成しているものは,<主体の行動>である。 カリキュラムを考えるとは,<主体の行動>の全体の流れを計算・シミュレーションするということである。

    <複数の主体の行動>をとらえようとすると,一つの学問分野をつくるほどになる。 数学では,「ゲーム理論」がこれにあたる。
    ゲーム理論の研究に示されるように,<複数の主体の行動>をとらえることは,その行動がごく単純なものでも (たとえば「待ち行列」みたいなものでも),ひどく難しい。 経済であれば,「計画経済」の無理なことが反照的に示されるといった具合になる。

    <複数の主体の行動>がつくる系は,複雑系になる。 カリキュラムを考えることは,複雑系を相手にすることである。 そしてこのとき,カリキュラムを考えることは,経済を考えることと同類である。