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関井隆 (2011), p.35.
太陽のエネルギー源は水素の核融合反応である。
太陽中心からおよそ20万km程度の範囲内で,水素の核融合反応によって 3.83 x 1026 のエネルギーが生成する。
こうして生成したエネルギーは周囲の物質と相互作用しながら,放射エネルギーとして太陽外層に向かつて伝わっていく。
この層を放射層と呼ぶ。
太陽の外層では,光の吸収散乱断面積は増大し放射だけでエネルギーを運ぶのは難しくなる。
これに加え,水素やヘリウムが完全電離していない層にさしかかると比熱比が小さくなって断熱膨張・圧縮の際の体積変化が大きくなり,対流が起こりやすくなる。
太陽の場合,深さ約20万kmを境に,その外側ではエネルギーが対流で運ばれる対流層になっている。
対流層最上部が,表面直下の層であり,われわれが太陽大気中で観測する太陽活動諸現象の直接の原因となる諸過程が起こる層である。
この最外層ではプラズマの密度が低く,特に磁場の強い領域では,磁場の影響を考えずに構造を論じることは最早できない。
また,乱流による応力なども平均的な構造に影響しているかもしれない。
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Wikipedia : 太陽
太陽は光球より内側が電磁波に対して不透明であるため、内部を電磁波によって直接見ることができない。
太陽内部についての知識は、太陽の大きさ、質量、総輻射量、表面組成・表面振動(5分振動)などの観測データを基にした理論解析(日震学)によって得るしか方法がないのが現実である。
理論解析においては、太陽内部の不透明度と熱核融合反応を量子力学により推定し、観測データによる制限を境界条件とした数値解析を行う。よって、太陽中心部の温度、密度などはこのような解析によって得られた数値でありなおかつ推定値でもある。
放射層は太陽半径の20% - 70%
対流層は70% - 100%
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HINODE :「ひので」が見た新しい太陽の姿
太陽の表面(光球)の温度は約6000度、その上空の彩層はおよそ1万度、さらにその上空のコロナは100万度以上ですので、太陽大気は、外層ほど高温になっていることがわかります。
太陽を輝かせるエネルギーは、太陽の中心部(中心核)で生み出され、中心から四方八方に拡散していきます。従って、太陽表面から離れるほど温度が高くなるこの温度の逆転現象は、たき火やストーブから離れるほど温度が高くなるのと同じことになり、とても不思議な現象ということができます。
コロナはどうやって温められているのか――この謎は「コロナ加熱問題」と呼ばれ、長年にわたって太陽物理学の大問題のひとつになっています。
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引用文献
- 関井隆 (2011) : 太陽内部構造 ─ 日震学からの理解
所収 : 柴田一成・上出洋介 [編著] :『総説 宇宙天気』, 京都大学学術出版会, 2011, pp.31-50.
引用/参考Webサイト
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