Up 「風速」の定め方 作成: 2023-09-14
更新: 2023-09-14


    「風速」は,「移動する空気塊のその速度」とされている。
    この速度はどうやって求めているのか?

    つぎのように,求めている。
    1. 空気塊の全圧 \( P \) と 静圧 \( P_s \) を計る
    2. 空気塊の温度 \( T \) と高度 \( z \) を測る
    3. 静圧 \( P_s \),温度 \( T \),高度 \( z \) から,密度 \( \rho \) を計算する
    4. 全圧 \( P \) と密度 \( \rho \) から,速度 \( v \) を計算する


    全圧・静圧を測定する計器は,ピトー管である。
    圧力は,物理量としては仕事量,言い換えるとエネルギー,になる。
    ピトー管で計る全圧・静圧は,空気塊の単位体積あたりのエネルギーである。

    空気塊の単位体積あたり重さは,\( \rho \)。
    静止している空気塊の圧力 \( p \) は,空気分子の分子量を \( a \) とすると,
      \[ p - \frac{ R }{ a }\ \rho\ T \]
    ここで \( R \) は,モル気体定数。

    静圧 \( P_s \) は,\( p \) と<空気塊単位体積の位置エネルギー>の和である。
    即ち,重力加速度を \( g \) として
      \[ P_s = p + \rho\ g\ z \]
    \( P_s \) と \( p \) が既知なので,この式から \( \rho \) が求まる。

    ここで,ベルヌーイの定理「全圧と静圧の差──動圧──は,空気塊単位体積の運動エネルギー」の出番となる。 即ち,
      \[ P - P_s = \frac{ 1 }{ 2 }\ \rho\ v^2 \]
    \( P,\ P_s,\ \rho \) が既知なので,この式から \( v \) が求まる。


    風速のこの導き方は,結局,ベルヌーイの定理で風速を定義しているということである。
    風速は,ベルヌーイの定理がこれを定義する」──これが, 「風速」の存在論である。