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気象衛星センター『気象衛星画像の解析と利用』, p.15
2.3.2 形状による判別
層状雲は、一様な雲頂高度を持つかなりの広がりを持った雲域として存在しやすい。
例えば St [層雲/霧] は一定な雲頂高度をしているので、雲縁は地形の等高線に沿った形状をすることが多い。
Ci [上層雲] は、筋状 (Ci ストリーク)、Cb [積乱雲] から吹き出す羽毛状(かなとこ巻雲)、流れに直交する小さな雲列(トランスパースライン)などの特徴的な形状を示す。
対流雲は比較的小さな雲の塊として存在することが多い。
対流雲は発達が進むにつれ、雲の厚みを増したり併合したりするので、衛星からみると雲域面積は増大する。
したがって個々の雲の大きさは一般にCb, Cg [雄大積雲] 、Cu [積雲] の順となる。
対流雲は、列状・テーパリング状・セル状などの特徴的なパターンを示す。
対流雲や下層雲の雲縁は、くっきりと明瞭である。
一方上層雲の雲縁は、上層の強い風の影響で、毛羽だったりほつれた様子をしていて不明瞭である。
2.3.3 きめによる判別
可視画像は他の画像に比べ空間分解能が細かいので、雲表面の細かなきめ(texture)を知ることができる。
雲表面の状態は、太陽光が斜めからあたっている方が凹凸による影が現れて、わかりやすい。
層状雲は滑らかで一様な雲表面をしている。
一方対流雲の雲表面は凹凸がありごつごつしている。
2.3.4 動きによる判別
大気中では一般に上層ほど風が強いため、上層の雲の動きは速く下層の雲は遅い。
従って St [層雲/霧] 、Sc [層積雲]、Cu [積雲] など下層雲は Ci [上層雲] に比べ動きが遅い。
Cb [積乱雲] や Cg [雄大積雲] のように背が高く厚い雲は、おおよそ雲層の平均風速で移動するので、Ci に比べ動きは遅い。
2.3.5 時間変化による判別
対流雲はライフタイムが短かいので、短時間で雲の形状や雲頂高度が変化する。
一方層状雲は雲の形状や雲頂高度の変化は小さい。
例えば Cb と Ci を比べたとき、形状やパターンに着目して時間変化の少ないほうが Ci となる。
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