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気象衛星センター『気象衛星画像の解析と利用』, pp.4,5
(1)水蒸気画像の特徴
水蒸気画像も温度の分布を表している。
赤外画像と同様に、温度の低いところを明るく、温度の高いところを暗く画像化している。
水蒸気画像の場合、水蒸気による吸収が支配的なので、画像の明暗は上・中層の水蒸気の多寡に対応するという特徴を持つ。
標準的な大気を上・中・下層と代表的な3つの層に単純化し、赤外線の放射量の吸収・再放射を概念的に示す:
地表面付近から大気下層では気温が高く水蒸気量が多いので、放射される赤外放射量も多いが同時にそのほとんどが水蒸気に吸収され衛星に届く赤外放射量は少ない(図中a、b)。
高度が増すにしたがい気温が低く水蒸気量が少なくなるので、再放射される赤外放射量は減るが、水蒸気に吸収される量も減る(図中c)。
上層ではさらに気温が低く、水蒸気量も少ないので、再放射される赤外線はほぼ吸収されずに衛星に到達するが、衛星に届く放射量自体が少ない(図中d)。
上・中層で水蒸気の少ない乾燥した部分は、<より下層からの放射量>が多く寄与するので、温度が高く、画像では暗くみえる。
上・中層で水蒸気が多い湿った部分は、<上・中層の水蒸気や雲からの放射量>が多く寄与するので、温度が低く、画像では明るく見える。
水蒸気画像でのこうした特徴を図に示す:
(2)水蒸気画像の利用
ア 上・中層の流れの把握
水蒸気画像の特徴は、上・中層に存在する水蒸気からの放射を観測できることである。
つまり雲が無くても、水蒸気をトレーサとして上・中層の大気の流れを可視化できる。
水蒸気画像で現れる明・暗域の分布から、上・中層のトラフ・渦やジェット気流の位置を推定できる。
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