Up 風速計 作成: 2023-09-14
更新: 2023-09-14


    「風速」は,つぎの方法で定めるものである ( 「風速」の定め方):
    1. ピトー管で,空気塊の全圧 \( P \) と 静圧 \( P_s \) を計る
    2. 空気塊の温度 \( T \) と高度 \( z \) を測る
    3. 静圧 \( P_s \),温度 \( T \),高度 \( z \) から,密度 \( \rho \) を計算する
    4. 全圧 \( P \) と密度 \( \rho \) から,速度 \( v \) を計算する


    「風速」が定まるものになったので,つぎはこれの計器──風速計──をつくる。
    それは,風に曝せばその速度が表示される機器である。

    風速計は,はじめは地道につくるのみである:
      風洞で風をつくり,機器の表示に風速の理論値を対応させる。
      異なる速度の風を多数つくって,機器の風速表示を細かくしていく。

    こうして精巧な風速計が一旦つくられれば,これを原器にして,次回からはつぎの方法で風速計をつくることができる:
      風をつくり,機器の表示に原器の表示を対応させる。
    「異なる速度の風を多数つくって,機器の風速表示を細かくしていく」の方は,原器をつくったときと変わらない。


    風速が風速計で測られるものになると,風速の意味──風速はどう定められたか──は問われないものになる。
    ひとは,風速の意味を問わない。
    そしてそれは,<風速の意味を問う>があることをそもそも知らないので問わない,なのである。